自分の思いを口にするのは難しい。そんなに簡単に言葉にできることはそんなに大切じゃななかったりもする。
それでもやっぱり言葉にしないと相手には伝わらない。そもそも言葉にしようとすることで、「自分が思っていたこと」が徐々にわかってきたりもするから、言葉を発することは役に立つことが多い。
それでも、人間だれにでも得意不得意がある。ペラペラとうまいこと言葉に変えられる人もいれば、間違って伝わることを恐れて言わない人もいれば、言葉に変えられてなくても何の問題もないと思っている人もいるだろう。
私の永遠の恋人の次男はうまく言葉が出ないタイプ。私自身は「そうかそうかうまく言葉にできないんだな、それじゃどうするかだよね」と思っていたが、この社会で生きていくためにはそれではダメなようだ。
次男は来年1年生になる。就学に向けて保育園で面談があった。そこで言われたことが…
「自分の思いを言葉にできないと、1年生になって困ることがあります」
だった。
そうか…そうなのか…そうだろうな…それはなんとなくわかっていた。じゃ、次男が楽に生きられるようになるにはどうしたらいいだろう?
極端に負けず嫌い
次男は言葉が出るのが遅かった。なかなかしゃべるようにならず、保育園の先生から「もうそろそろ言葉に関して相談に行った方がいいかもしれませんね」とご忠告を受けて、「よし、じゃ調べるか」と思った矢先、突然ペラペラと話し始めた。
おお~まさに満を持して話始めたって感じだな!と思った。体の中に言葉はたまっていたけれど、流れる川がせきとまっていただけなんだなと思った。
次男は負けず嫌い。そもそも勝負をしない。負けるとわかっている勝負をしない。例えばアニキとのカルタとか、かけっことか…。負けそうになると大泣きして放棄する。最後までやろうとなだめてもすかしても、ぜったいやらない。頑固ちゃん。
意志は固く、とにかくねばり強い。欲しいものがあるとその場にひっくり返って、足をバタバタさせて欲しい欲しいと泣き叫ぶ。そんな姿もかわいいので笑うのを必死でこらえて、隠れて写真を撮っている。
決してあきらめないので、柔道の寝技とかうまそうだよねとよく夫と話している。
そして気に食わないことがあると、芝居がかった感じで落ち込んだり、閉じこもったりもする。
自分の思いを言葉にはできないが態度では表せるらしい。ただそれはごく近しい人に限っているかもしれないが。
面談で初めて聞いた驚きの一件
保育園の生活を次男に訊いても、言葉少なであまり多くは語ることはない。「今日は運動会の練習」とか「はーくんと遊んだ」とかそういうことぐらい。
保育園に行きたくないという時も特に理由は言わなかった。それでも大泣きするとか、絶対行かない!!と騒ぐとかはなかったので、まあインドア派だからかな?くらいに思っていた。
面談で「毎朝、保育園には行きたくない。怒られるからイヤだっていうんですよね」と言ったら、こんな話を聞いた。
先生との面談は驚きの話がどんどん出てきて驚いた。この保育園には0歳児から通っているがこんなに長い時間面談したのは初めてだった。
要約すると…
◎ お友だちに「イヤ」とか「やめて」とかが言えず、イヤそうな顔をしたまま黙っている。
◎ 先生に注意された時になにも答えずに固まってしまう。
◎ いたずらをして、その理由や気持ちを訊いても一言も発しないで、失神しそうになったことがある。
◎ どう答えればよいかを、一緒にいたずらしたお友だちが答える様子を見せたが、その後もう一度同じ質問をしても、なにも言わなかった(言えなかった)
ということだった。
お友だちも意地悪ではなく、しつこくからんでくるという感じらしいし、先生も強い口調で問い詰めると言った感じではない様子。
とにかくそういうシチュエーションになると感情が動かなくなるらしい。
思い当たる節は…ない。家でそんなことはない。アニキにも食ってかかるし、怒られて押し黙るということもないし。
母はショックを受けた
私はだいぶショックを受けた。先生の言い方があたかも「このままじゃいじめにあいますよ」と言っているような気がしたし←被害者意識
次男に訊こうと思ったが、いったい何をどう訊けばいいのか?
失神しそうになるくらいなことだったのに、またそれを蒸し返していいのか?
そのいたずらはだれかに命令されてやったことなのか?
あまり問い詰めると逃げ場をなくしはしないだろうか?
心に傷を残してしまったらどうしよう?
そんな思いがグルグルグルグル…。
思いきって訊いてみた…
・・・・・・・あれっ?意外な答え。ちょっと上から目線だった。
次男は次男のままでいいんだよね
性格を変えたい!と思うことってあるとは思う。もっとはっきりものが言えるようになりたい!とか、友だち100人作りたい!とか…いわゆる人間関係や対人関係において。もっと生きやすくなるために。
そういう気持ちも大切。なりたい自分なるためにどうするかを考えることもいいと思う。
次男は無口というわけではない。結構しゃべるし、よく笑う。楽しい子。本当に天使のよう。
そんなかわいい我が子が辛い毎日を送っているかもしれないと思うと胸が痛い。でもそれをどうするかは次男が自分で考えることであり、私ができることは…
逃げ場所をつくること。居場所をつくること。
そしてちょっとのアドバイス。見張りじゃなくて見守り。
あーだこーだと指図することもできるけれど、そうするとここにいるのも辛いと思ってしまうかもしれない。そんな指図は私の価値観でしかない。
イヤなことがあっても、もしかしたら家に帰ってきてから言葉にできないかもしれない。そんな時それでもやっぱり安心できる場所を作っていきたい。
君は君のままでいいんだよと。
君はいつまでも私の天使なんだから。