諸事情で母が我が家に滞在している。ほとんど私たちは話さないが、時折ポロっと話すことがなんとなく深い…というかブログのネタになる(笑)。
私はブログを書くとか、何か考え事をするとか、ザワザワした気持ちを落ち着かせる時には音楽を聴いたり、ビデオをみたりする。要は音を鳴らす。
なんの気なしに、「気持ちが落ち着かないから音をかけるのだ」と母に言ったところ「ああ、そうなの…。お父さんもそうだったのよ。説教準備とかなにかを書いている時に、ジャンジャンジャンって音を流すの。ずっと私が邪魔でそうやっていると思っていたのよ。違ったのねきっと。あなたはお父さんに似ているから、そういうことだったのね、きっと」となんとなくほっとした顔をしていた。
母の思い込みだ。音を鳴らしているからといってそこにいる人の存在を消したいわけじゃない。でも母はそう思って悲しい思いをしていた。「私が邪魔なのだ」と思っていた。自分にはその感覚がないから。それを父には言えずにもしかしたら他の方法で怒りを当てていたかもしれない。よく夫婦ケンカしていたな。それを見て私はよく泣いていた。
夫婦って近いけど、近いからわからないこと、言えないことってあるんだよね。自分の感覚や価値観でなんでも判断するからね。
過去の後悔やわだかまりが、こうやって父が他界した後に昇華されたり解消されたりすることはあるんだろうな。
過去にとらわれ、未来を見ていると、不安になる。どうなるかわからないから不安になるのはあたり前。過去だって基本は起こった事象は変えられないから後悔だってするだろう。
でもそればかり見ていたら、不安は解消されない。今ここにいて不安を解消しようなんて無理な話だ。だったら『今』を生きるしかないんだよね。『今』できることしかできないんだし。
以前とか以後とか、前と後ろの感覚
日本語って面白いなと思う。時間軸を示すときの『前』と『後』の表現。
空間軸で考えたら、人は前に向かって歩いているのだから、未来を『前』と表現する方が自然な気がする。だけれども、日本語は、未来を『後』と表現する。
ですよね?
これって、人間の感覚をよく示しているなと思っている。空間軸と逆の表現をする方法は見事だなと。
言ってみれば、手漕ぎボートを漕いでいる感じが、時間軸を進む感覚だということ。後ろに向かって進んでいる。見えない後ろに向かって。
そりゃ不安だよね。見えないんだもん。
で、何を見ているかって言ったら『前』つまり、過去を見つめながら進んでいる。そりゃ気になるよね、目の前に見えているんだから。
前(過去)を見ながら、見えない後ろ(未来)に進む。そりゃ怖いよね。どうしようもない。人類全員同じ状況だ。
見えない後ろを見ようと首を180°曲げて(まあフクロウじゃないから無理だけど)、見えない未来に向かってそのままボートを漕ごうとしたらどうなるか…曲がるのよ。方向が。行きたくもない方向に行くのよ。
見たくない過去を見させられて、見えない未来に不安を持ちながら進まなきゃいけないのか?ということになるんだけど…
まぁそうなんじゃない?あとは程度の問題だ。
過去は道しるべだから『今』それを見てどうするか
過去は不安材料というわけではない。
今まで進んできた道は見える。こうだったから、見えない後ろもこうなっているであろうという予測をつけるためにはとても必要な道しるべ。
はっきり言って、それば100%正しいわけではない。あたり前。だけど一つの『道しるべ』にはなる。過去にとらわれてばかりだと、見えない未来が不安でオールを漕げないし、未来を無理やり見ようとすれば乗っているボートが不安定になる。
じゃ、私たちはどうするか。今乗っているボートを安定させ、しっかりとオールを漕ぐことだ。自分の進みたい未来を一度見てきた人に同乗してもらうのもいいかもしれない。
面と向かって座ってもらえれば、自分が見えない未来を代わりに見てくれる。自分はただしっかりとオールを漕ぎ続けるという『今』に集中することができるかもしれない。
漕ぎ続けなくてもいいとも思う
見えない未来に向かって漕ぎ続けるのは疲れる。休まず漕ぎ続けて疲れ来ちゃったら、休んでもいいんじゃないかな?と思う。
そんなことしたら、流れに流されてそのまま沈没しちゃうんじゃないかと不安にもなるけれど、自分でわざわざ荒波立つ場所に漕ぎ入っているんだから、流れが穏やかで、しんとしている場所にゆっくり動いて行って休めばいい。
わざわざ荒波の場所で、漕ぐのをやめてゴロンと横になって空を眺めるのは…危険です。
とにかく、今いる場所からそっと、こそっと離れてから休めばいい。
ゴロンと横になって、空を眺めて流れていく雲を見つめていると「なんであんなに必死だったんだろう」と思うこともある。
そして、準備ができたらまた漕ぎ出せばいいよね~。
今、私は空を眺めているところ。そして…もう漕ぎ出すつもりがないんじゃないか?と思い始めている(笑)
のんびり万歳。