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言葉は口から出た瞬間に言霊になり変幻しちゃうものだからね…

お弟子さん制度の対面or電話セッションを終えて色々考えることがあった。

こんなことができた!とうれしいこともあったけれど、殆どが「これでいいの?」という迷いがムクムクムクムク…と鎌首をもたげてきてしまった。

その第一党が「自分の言葉がどれだけ相手に刺さってしまうのか?」ということだった。

◎ その言葉で触れられたくない傷や痛みをえぐってしまうのではないか?
◎ 口から出た言葉が意図しない意味にとられてしまうのではないか?
◎ その言葉のチョイスで正しく伝わるのか?

と悶々と考えてしまって意識が木星の裏側くらいまで飛んでいきそうになる。めまいがする。

その言葉をどうとるか?

『イヤミ』という言葉がある。この『イヤミ』は言われた方の心情によってどう捉えるかが大きく変わる言葉だと思う。

20歳くらいの頃だったと思う。家族ぐるみで知り合いのご婦人にこんなことを言われた。

「あらぁきれいな手をしているわねぇ。家のこと全然やっていない手だわね。いいわね~幸せそう」

能天気な私は「手を褒められた」と思って「ありがとうございます!」とお礼を言ったが、その横にいたご婦人の娘さんがちょっと怒った口調で

「お母さん!そんなこと言うの止めなよ!!」と言った。

その時初めて「ああ、イヤミだったんだ」と気がついた。気がついたからと言ってなんとも思わなかったけど。

もしその時私が家事をやっていないということを、心のどこかで引け目に感じていたら大きく反応し「この人ひどい!!」と思ったのだろうなということだ。そして『幸せ』を感じていなかったらこれまた「イヤミだ!」と腹を立てたかもしれない。

真実はひとつじゃないって思うんだよね

根が卑屈なので褒められても「うれしいけど、本当はそうじゃない」と思っちゃうことがある。受け取れないことがやっぱりある。

人からみたら長所だったり、美点だったりすることも本人が納得しなかったらそれは真実じゃないと思うんだよね。

根本師匠の心理学のDVDで「相手言うことを否定しない。ただクライアント自身がが自分の価値を下げるとか認めないことは、否定した方がいい」と言っていた(多分こういうことだったと思う)。

そうだよね!! これは私も目指したい!!と思ったが、その時思い出した友だちがいる。

痩せているのに

彼女は背が163cm あり、体重は42㎏。痩せていてとってもおしゃれで頭もいい。決して卑屈でもなく、程よいプライドもあり社交性もある。とっても素敵な人。

そして彼女は自分のことを『太っている』という。明らかに太っていないのに。

「太っていない。むしろ痩せすぎなくらいだよ。モデルさんみたいだし、いつも素敵な雰囲気で歩き方もかっこいいよ」と何度も何度も言った。

それでも彼女は「私太っているから」という。いくら回りが「痩せている」「それ以上痩せたら骨と皮しかない」と言っても、頑として「自分は太っている」と言い続けた。

ちょっと摂食障害もあった。

それは彼女にとって『真実はひとつ』だった。『自分が太っているのは真実』だ。

友人としつこく説得してみた

摂食障害も少しあったので、ある日友人と2人で彼女の体型を褒め上げることをしてみた。

彼女はどうなったか?

激怒した。

バカにしていると怒ったのだ。

褒め続けたのに、怒らせてしまった。彼女は私たちが虚偽を言い続け、バカにし続けたと思ったのだ。

そんなつもりはなかった。

もちろん私たちにはそんなつもりはなかった。でも言葉も思いも正しく伝わらなかった。

言葉は怖い。

本人だけの真実の後ろにあるドア

彼女の中では163cmで42㎏であってもそれは『太っている』のが真実である。

因みに150cmで42㎏(当時)の私は彼女曰く「全然太っていない」そうである。そういうことだ。本人だけの真実とは。

『太っている』ことが痛みの本質ではない。その後ろにドアが見える。彼女が作ったドアだ。その向こうには彼女の『太っている』と思いたかった痛みや傷がある。

いくらその「ドアはおかしい」「それはない」「あなたは間違っている」と叫び続けても彼女の心には響かない。そのドアの向こうにある痛みに触れなければ。

そのドアを蹴破るカウンセラーもいるだろう。
ずっとドアをノックし続けるカウンセラーもいるだろう。
そんなドアはもともとないと言うカウンセラーもいるだろう。
針金を使って鍵を開けちゃうカウンセラーもいるだろう。
次から次へと合い鍵を持ってきて開けるカウンセラーもいるだろう。
彼女と一緒に鍵を探すカウンセラーもいるだろう。

どの方法が合っているとか間違っているということではないのだろう。

いずれにしても、そのドアを開けなければ傷は治らない。でも開けることは怖い。彼女も怖いし、こっちも怖い。ドアの向こうにあるのは彼女の過去の傷だったり、痛い経験だったり、思い込みだったりするのだろうから。

彼女はそれでも元気

先日久しぶりに電話で話した。彼女はとても元気で、幸せに暮らしている。別に痩せているとか太っているとかは彼女にとってそこまで大きな問題ではない。それは分かっている。

それでもこんなことを言っていた。

この間さ、体脂肪が計れる体重計を買ったんだ~。で、体重計計ったら『栄養失調』みたいな表示が出てさ。これ壊れてるわと思って返品した~。

そうか、彼女の中の真実は未だ続行中だ。数値も太刀打ちできないよね。そうだよね。

言葉は変幻する

言葉は口から出た瞬間に言霊に変わると思っている。変化したり消えたりする。

私がここを是非聞いてほしいと思った言葉が、消えてしまったり、意味が変わってしまったりする。それはどうしようもない。だって言霊だもの。

なんでそんな簡単に変幻しちゃうのか?

その言葉を聞いた本人が、聞きたいように聞き、聞きたいところだけ聞くからだ。

言葉を放つ方は責任をもって、言葉を選んで、えらび得る最上の言葉を使う方がいいが、それは徒労に終わることだってある。

そこをどう自分で納得させるべきか、諦めるべきか…迷うのである。

そんなことを考えていたら一言もしゃべれなくなっちゃうからね。

自分のベストを尽くしたら、もう相手にゆだねるしかない。信頼するしかない。もっとできることがあればそれを熱心に続けるしかない。

そういうことだ。

それはさ、あなたがそう思いたいだけなのでは?by 夫
コヤツはたまにいいことを言う。まったく腹が立つ!

 

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